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   中野研究室

がんリハのエビデンスに関する研究(文献研究)STUDY  →戻る

がん患者は腫瘍の影響,化学療法や放射線療法の副作用により様々な身体症状を呈し,QOLに直結します1).その対処としては基本的には薬物療法が適用されますが,副作用などの関係で調整がうまくいかず,十分な効果がが得られないケースもしばしばあります.そのようなケースでは非薬物的治療すなわち補完代替療法が求められます.現在行われている非薬物的治療法としては,運動療法,マッサージ,リフレクソロジー,アロマテラピー,リラクセーション,リンパドレナージ,音楽療法,ヨガ,ホメオパシー,鍼灸,漢方薬,栄養補助剤,アニマルセラピーなど様々なものがあげられますが,最も効果があるのは運動療法と言われています2).実際に倦怠感や痛みの軽減効果は,エビデンスも明確にされています3)4).しかしながら,その他の身体症状に対する効果についてはエビデンスは十分に検討されておらず,どのような運動が効果的なのかも不明です.そこで本研究では,がん患者の身体症状に対する運動療法の効果について文献検索を行い,メタ分析を検証しています.
 がん患者を対象とした研究は非常に難しい研究分野です。そのため、論文の結果にはかなりのばらつきが見られます。メタ分析とは,そんなばらつきのある複数の論文のデータを統合し,正しい結論を導く分析方法です.その結果は,エビデンスそのものとなります.具体的には,「がん患者」,「身体症状」,「運動療法」をキーワードとして医学論文データベースを検索し,その論文の中から質の高いRCT論文を選定します.そして,共通したアウトカムのデータを抽出して統合し,運動療法を行うとがん患者の身体症状が軽減するかどうかを検証しました.簡単にいえば,複数のRCT論文を合体させて巨大な1つのRCT論文にしたということです.対象者総数は1312名にのぼりました.

1)前田 隆司:MEDICAL REHABILITATION 140:11-17,2012
2)Dos Santos WDN: Biomed Res Int. 2017: 8367803.
3)Mishra SI : Cochrane Database Syst Rev, CD007566, 2012
4)Chiu HY : Oncol Nurs Forum 42:E54-62, 2015

中野治郎が第2回がん理学療法部門研究会(R1.10.6-7)で発表した内容(一部)です.
 

 

 

 

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